会員増強と会員維持は、どこのクラブにも共通した悩みだと思います。わがクラブでも3〜4年前から、工夫を重ねてきました。4年前に会員増強委員長を拝命した私が、歴代の会員増強委員長のアドバイスを受けながら進めた、わがクラブなりの工夫とノウハウをここに披露させていただきます。
最初は、若い世代の力を活用することから始まりました。彼らの特徴は、単に年齢層が若いだけでなく、新しい情報(手垢の付いていない人材リスト)をもっていることです。そういう情報・ネットワークを活用することで、クラブの増強活動の幅を広げようと考えたのです。
加えて、会員選考にも工夫を凝らしました。「量か?質か?」ではなく、「量も質も」を追求する路線に転換し、入会条件を厳しくしたのです。いくら増員しても、フレッシュ期間に退会されたのでは効果は上がりません。そこで私たちは、入会候補者たちに「3年間は退会しない」との誓約を求めました。会員選考担当者が「このことが確約できない限り、あなたには入会資格がありません」と通告するわけです。
それだけでなく、2つの新会員対策を講じました。1つはチューター(家庭教師)制度です。教科書では学べないノウハウや心構えを教え、うまく人間関係に溶け込めるようサポートするのが、チューターの役割です。
もう一つは「新入会員研修会」の実施でした。これを毎年重ねていくうちに、少しずつ進化が見られました。直近では、テキストとして『ロータリー入門書』(前原勝樹・重田政信著、北斗事業出版)を新会員に読んでもらい、それぞれの分担部分(数十ページ)をレジュメにまとめて発表するわけです。
研修会には、会長・幹事・情報委員長・増強委員長が列席するだけでなく、入会2年目の会員も新会員の発表に関するコメント(補足説明)役を与えられます。そして、2年目会員のコメントから、1年間の在籍が舌を巻くほどの進化を促したことが明らかとなり、参加者に感銘を与えるだけでなく、3年目には危なげなく委員長任務を遂行でき、将来の理事候補にふさわしい人材資質であることを予感させるのです。
こういう経過から、私たちは、(1)入会時の敷居を高くすること、(2)入会後に十分な教育を施すこと、そして(3)できるだけ早期に責任あるポストを経験させることが、意欲と定着率を高める上で有効だったと、確認できた次第です。
多くのクラブで実践されていると思いますが、当クラブでも新入会員は初年度、親睦活動委員会に所属します。ここで親睦を深めつつ友人を増やし、同時に会員増強活動にも深くかかわります。つまり、「親睦活動」と「会員増強」の両委員会は、不可分な関係にあるということです。
こうした経緯により、フレッシュ会員の退会率が大幅に低下したばかりでなく、若年構成比が大幅に高まって、クラブに活性をもたらしました。 (岡山県)
ロータリーの友 2010年8月号より