花壇で鎮魂の山を華やかに
   
 

 モノクロの世界がカラーの世界になったよう

 5月26日。今日は、山田ロータリークラブ(RC/第2520地区、会員15人)と名川RC(第2830地区、会員14人)との合同例会。岩手県山田町中心部にある御蔵山(おぐら)に合同で花壇を作ります。御蔵山には、町営の共同浴場と、「鎮魂と希望の鐘」、そして1971年、山田RC5周年時に寄贈され、40年にわたりJR陸中山別駅の駅舎で町民を見守り続けた大時計が保存され、山田湾を見下ろしています。山田町は津波後、火災にも見舞われました。時計は焼け焦げ、針は津波の襲った3時27分を指して止まっています。
 午前11時、名川RC会員と名久井農業高校インターアクトクラブ会員総勢約40人を乗せたバスが御蔵山に到着。花壇作りは高校生たちのおかげで手際よく進められました。3年生の指示でサルビア、マリーゴールドなど、約1,000個のポット苗を植えます。一緒に植えながら、山田RC会員が高校生たちに昨年3月11日のことを話す場面も見られました。作業後は、立直んで鎮魂の鐘を鳴らしました。大きく澄んだ昔が海に響きます。
 「花を植えていただき、あの丘がモノクロの世界からカラーの世界になったような感じで、本当に良かったです」。植樹後の例会で、阿部幸栄会長はあいさつしました。例会場は、4月30日に共同仮設店舗で店を再開した「三陸味処 三五十(みごと)」。今日はここを会場にした初例会でもあります。50人も入れば満員ですが、現在の山田町では、民間では一番広い「ホール」とのこと。別の場所にあった店舗は、津波と火災で焼失。創業58年、父親から店を継いだ代表の大杉繁雄会員が、被災直後の心境を語りました。「もう本当にがっくりしてしまって、立ち上がれないんですよ。それで『がんばる』といってもね、全然その『がんばる』の意味がわからない」
 昼食中、大杉さんは15年前から岩手アカモク生産協同組合と協同で研究を続けてきた天然海藻「アカモク」の佃煮を紹介。栄養価が高く、医薬品への研究も進んでおり、アカモクへの注目度も高まっています。昨年3月17日にお披露目の予定が震災で全てを失いましたが、組合の冷蔵庫に残っていて、9月に「岩手県ふるさと食品コンクール」に出品したところ、最優秀賞を受賞。それから大阪をはじめ各地を飛び回り、今はイベント出店などで奔走の日々だそうです。

ロータリーの友 2012年7月号より