国際ロータリー第2670地区 2020-2021年度 ガバナーあいさつ
 

 
「行動するロータリーを目指そう」


                国際ロータリー第2670地区
                      
ガバナー 篠 原   徹
 
 
はじめに

パンデミックウイルス感染緊急事態宣言について

 地区運営方針を述べるにあたり、会員の皆様にまずもってお知らせいたしたいことは、2020年2月頃より世界的規模で大流行となったコロナウイルスのパンデミック感染がおこり、連日、世界中に拡散中との報道がされていることは、皆様、ご承知のとおりであります。全世界で経済活動、物流、移動等の制限が起こり、各種の会議、集会等も全て休会、中止となっております。ドイツの首相等は、百年に一度の伝染病による混乱であり、第二次大戦に匹敵するウイルスとの戦いであるとまで国民に訴えられています。
 国際ロータリー活動、また、地区、クラブの活動も例外ではなく、非常な制限を受けており、まさに今まで経験したことがない非常事態にあります。今年度は、従来行われてきたいろいろなロータリー活動が止まってしまい、十分な意思疎通が困難となっておりますこと、大変恐縮いたしておりますが、会員の皆様にはご理解頂きたく存じます。
 2020年前半に予定していた各種会合はほぼ全て中止となりましたが、2月のPETS、DTTSの会合は何とか開催されまして、次期クラブ会長、ガバナー補佐、地区委員長様等の皆様には私の地区運営方針をお伝えできましたことは幸いでした。3月の地区研修協議会は開催困難となり、今年度は小冊子にまとめた文章、記事と、クナークRI会長のテーマ講演DVDディスクを各クラブ、会員の皆様に送付させて頂き、これで代用するという方法をとらざるを得なくなりましたので、ご理解下さい。
 今後につきましては、このパンデミック感染の推移次第だと思っておりますが、まだまだ混乱は続くと予想されます。会員の皆様には、その都度ご連絡して意思疎通を図りながら、可能な限りの地区運営を行っていくつもりですので、ご協力の程、お願いいたします。

地区方針の概略
 2020年度のRI会長ホルガ―・クナーク氏のRIテーマは「Rotary Opens Opportunities」となりました。日本文では「ロータリーは機会の扉を開く」となっております。Opportunityという言葉のニュアンスは、行動したり、目的、希望を達するのに都合の良い機会、状況という意味で、偶然の機会は含まないようです。クナーク氏の説く真意は、ロータリーはロータリーと接してくるあらゆる人々に対してあらゆる機会を提供する準備があるし、また、その機会を利用して頂きたいといことのようです。
 ロータリーの提供する機会の扉を開いて入ったその先の部屋には、さらなる世界、展開が待っているとの考え方で、今以上のロータリーや人々の飛躍を願っていると思われます。

 会員の皆様もご承知の様に、ここ数年前よりRIは規定審議会で次々と定款、細則の変更を打ち出してきています。革新性、柔軟性を重視して、会員増強、寄付促進、奉仕プロジェクトの充実、公共イメージ向上等を強調するようになってきてます。一方で、親睦を基盤としたクラブ奉仕や自己研鑽、更に職業奉仕を主体としたロータリーの伝統的な考え方がやや薄れつつあり、古参の会員の皆様にはやや戸惑われているような感があります。しかし、昨今の情報化等を主体とした世界の激しい社会構造の変化の中で、私はRIや世界のロータリアンの考え方の変化、方向性は今後共、もう元に戻ることはなく、将来、今より更なる革新的な変化が起こる可能性があると考えております。

 一方で、ロータリー活動の原点である各クラブ、ロータリアンの自主性、独自性は最大限尊重されるべきであり、日本のロータリークラブの伝統的な考え方、地区運営のやり方等、伝統と継続性も非常に大事だと考えております。
 私は、本年度の地区方針を表題の様にいたしましたが、これは従来のロータリーの基本理念、哲学を無視して、RIの変化だけを重視すべきだと思っているわけではありません。むしろこれからは、四つのテスト、四つのロータリーの目的、五つの中核的価値観等に代表される理念、哲学は、精神のバックボーンとしてしっかり堅持しないとロータリーの存在意義がなくなり、この点では、世界のロータリーは一致していると思っております。
 従って、今年度は、RI、世界のロータリーの新しい流れを否定的に捉えるのではなく、適応しつつ、従来の伝統的運営のやり方をふまえながら変化していきたいと思っております。ロータリーは人道的、教育的な奉仕団体であり、また、善意の人々の自主的な集まりの団体ですので、形式上の考え方の相違はありましても、根本的なところでは世界中変わらないと考えております。今年度は世界とあわせながら前向きに行動して、少しずつ変化していきましょうということを訴えたいと存じます。

今後のロータリーの方向性、目標
 昨年、国際ロータリー(RI)理事会とロータリー財団(TRF)は、今後の世界のロータリーが目指すべき方向性、目標のビジョン声明を出しました。「私たちは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能なよい変化を生むために、人々が手を取り合って行動する世界を目指しています」という声明文です。
 さらに付け加えて、ポリオ撲滅まであと一歩のところまで来たロータリーは、次なる課題に取り組む心構えができています。より多くの仲間を迎え入れ、より大きなインパクトをもたらし、世界に変化を生み出すための新たなビジョンに向けて行動する時が来ています、との声明文です。

ロータリーの中核的価値観(Core Value)
(1) 親睦(Fellowship)
(2) 高潔性(Integrity)
(3) 多様性(Diversity)
(4) 奉仕(Service)
(5) リーダーシップ(Leadership)
 今日の世界は、1905年の世界とは同じではありません。人口動態が変わり、変化のスピードが加速し、テクノロジーによって繋がりや奉仕の新たな機会が生み出されています。不変なのは、ロータリーを定義付ける五つの中核的価値観です。

ロータリーの目的(Object of Rotary)
(1) 知り合いを広めることによって奉仕の機会とすること(クラブ奉仕)
(2) 職業上の高い倫理基準を保ち、役立つ仕事はすべて価値あるものと認識し、社会に奉仕する機会としてロータリアン各自の職業の品位を高潔なものとすること(職業奉仕)
(3) ロータリアン一人一人が個人としてまた、事業及び社会生活において、日々奉仕の理念を実践すること(社会奉仕)
(4) 奉仕の理念で結ばれた職業人が世界的ネットワークを通じて国際理解、親善、平和を推進すること(国際奉仕)

ロータリーの戦略的優先事項と目的
 国際ロータリーとロータリー財団より今後5年間の活動、行動計画を方向付ける四つの優先事項が定められました。
(1) より大きなインパクトをもたらす
   ○ポリオを撲滅し、残された資産を活用する
   ○ロータリーのプログラム及びロータリーが提唱する体験に焦点をあてる
   ○活動成果を挙げて、それを測る能力を高める
(2) 参加者の基盤を広げる
   ○会員基盤と参加者の基盤を広げ、多様化する
   ○ロータリーへの新しい経路を創りだす
   ○ロータリーの開放性とアピール力を高める
   ○活動成果とブランドに対する認知を築く
(3) 参加者の積極的な関わりを促す
   ○クラブが会員の積極的参加を促せるよう支援する
   ○価値を提供するため、参加者中心のアプローチを開発する
   ○個人的、職業的なつながりを築くための新たな機会を提供する
   ○リーダーシップ育成及びスキル研修の機会を提供する
(4) 適応力を高める
   ○研究と革新、及び進んでリスクを負うことへの意志を奨励する文化を築く
   ○ガバナンス、構造、プロセスを合理化する
   ○意志決定における多様な考え方を育むために、ガバナンスを見直す

地区の全般的目標
(1) 各クラブの更なる基盤強化と充実
 ○会員増強と会員の多様化を推進する。○次世代のリーダーを育成する。○クラブを刷新し、柔軟性で変えていく。○CLP(クラブリーダーシッププラン)で、クラブの長期目標を立てる。
(2) 会員増強における入会勧誘の多様化を図る。
 会員増強は引き続き第一の目標事項と考えられるが、強調したいのは、若い世代の方、女性の方、定年後の入会希望の方、衛星クラブの方、ローターアクター関係者の方等多様な人々の入会を進める必要があると思っております。入会条件はあまり強く規制せず、奉仕する意欲のある方、また、職業上及び地域社会で善良な方等を基準に勧誘すればよいのではと考えております。
(3) 人道的、教育的奉仕への更なる行動と実施
 ○ポリオ撲滅運動への継続支援。○青少年活動、交換事業への継続支援。○ロータリー財団を利用した奉仕活動の継続支援。○ロータリー平和センター、フェローへの継続支援。○米山奨学生への継続支援。
(4) 公共イメージと認知度の更なる向上
 ○寄付だけではなく、行動を主体とした奉仕を推進する。○他組織とのネットワーク作りや、クラブ独自の活動に対する広報活動を推進する。○社会に対し、ロータリーのブランド力とイメージを再認識してもらう。

個別目標
(1) ポリオ撲滅運動
 1985年開始以来、ロータリーの世界的支援事業の代表的な一つになりました。ほぼ撲滅されつつありますが、まだ2ヶ国で患者数が約200名前後いるとのことです。本年度は撲滅は根絶という名称に変更されました。「End Polio Now」という標語の下に活動中です。ポリオプラス基金への寄付を続けたいと思います。
(2) ロータリー財団(TRF)
 アーチ・クランフの「世界で良いことをしよう」の標語の下に、ロータリーの様々な奉仕活動を支える資金を配分しています。また、全米の奉仕団体を評価している第三者機関チャリティー・ナビゲーターという機関より、ここ十数年間常にトップの評価を受けている透明性の高い財団です。
 日本は年次基金への寄付等、財団への寄付が多い国で感謝されています。また、年次寄付ゼロのクラブは日本全体でなく、これも大変評価されています。本年度も全クラブ寄付ということにご協力をお願いします。また、地区補助金(DDF、GF)を更に有効に各プロジェクトに活用して一層奉仕活動を進めましょう。
(3) 米山奨学生支援事業
 当地区は毎年20名前後の奨学生を支援していますが、選考生は全員誠実な学生ばかりで、有意義な国際親善、交流事業と考えられます。本年度も基金への寄付をよろしくお願いいたします。
(4) 国際奉仕活動
 当地区は、15歳〜19歳の学生に青少年交換事業を熱心に実施してきましたが、本年度もよろしくお願いします。
 ○短期交換:アメリカ、ニュジャージー第7470地区との長年にわたる事業です。約20日間前後で高校生がお互いの国を相互訪問して理解を深めています。
 ○長期交換:約1年間にわたるアメリカ、オーストラリアよりの高校生を主体に日本の高校生との相互交換をする事業です。1年間の交換学生生活で、どの学生もよい体験をして帰国しております。(付記:本年度は非常事態でプログラムは全部中止となりました)
(5) 青少年奉仕活動
 当地区は、青少年活動に対する支援も熱心に行ってきましたが、本年度もよろしくお願いします。
 ○インターアクトクラブ(IAC):12歳より18歳までの学生が主体で、学校内での活動や社会活動をロータリークラブの助言で実施しています。
 ○ローターアクトクラブ(RAC):18歳より30歳までの成人参加のクラブですが、30歳の上限が取り外され、若年層の社会人という広い解釈となりました。また、RIの加盟クラブの一員となりましたが、現在その地位等については、検討中であります。
 ○ライラセミナー(RYLA):第2680地区(兵庫)との合同事業で、長い伝統があり、全国的にみても大きな規模で行われている活動です。20歳以上の成人を対象に、毎年春に小豆島、余島で野外活動等を行っていますが、次年度より場所が変更になる可能性があります。
(6) ロータリー平和センター、フェロー
 国際紛争の調停、平和維持活動等に参加、従事することを希望する学生を対象にした支援事業です。世界では7校、日本ではICU1校だけが指定されていますが、本年度も約100人のフェローが誕生しています。1人のフェローを育てるためには、数百万円の援助がロータリーより支出されています。本年度も寄付をよろしくお願いします。
(7) ロータリー情報のペーパーレス化、簡素化
 情報の交換はウェブサイト、メール等のオンラインツールが主体となっており、ロータリーの各ウェブサイトや「My Rotary」を十分活用して情報を得る必要があります。新入会時に全員に登録してもらうことも必要かと考えられます。簡素化の一例として、ロータリーの事務手続きの指針であった「手続要覧」は、数年前まで約300ページ程あった記事が今年度は約70ページまでに削減されています。今後は「ロータリー章典」のウェブサイト等を通じて得る必要があります。
(8) 青少年保護、危機管理の重要性
 青少年奉仕、国際奉仕活動時におけるハラスメント、事故対応等に対する危機管理を最近RIは大変重要視してきております。RIJYEM(国際ロータリー日本青少年交換多地区合同機構)、地区危機管理委員会、RYE-PCP(青少年交換プログラム継続プラン、大規模災害時のプラン)等により、普段から危機意識を持ち、活動を継続する必要があります。

今後の課題と公式訪問について
 第2670地区の特徴としましては、四国四県にまたがっているという地理的特性があり、また、各県の地域による特色、独自性等の伝統もあり、そのために意思疎通が不十分な面が多々あるようにも感じております。一方で、共通することは、各県共に少子高齢化が全国的に見ても進んでいる地域で、人口減少、高齢化が急速に進んでいる中でのロータリー活動の困難さに直面してることだと思っております。今までは、四国四県の融和を考え、また、公平、平等に運営することに留意して、ガバナー事務所、また、多くの委員会事務局は毎年四県による持ち回り制で運営してきましたが、各県共に毎年、設立や運営、予算に大きな負担がかかり、苦労しているのが実情です。
 地区運営の簡素化、合理化、節約等の観点から、長年この問題が議論されてきましたが、まだ充分なるコンセンサスが得られないままとなっております。今後は、若い会員やガバナー輩出クラブだけにあまり負担をかけることなく、地区全体で運営、ガバナンスを行える体制に変化することが必要ではないかと考えております。
 次に、「四国八十八カ所霊場と遍路道」をユネスコの世界遺産登録にするという運動に対して、地区より一層の支援、協力を続けて欲しいとの要望があります。関係者によりますと、だいぶ、国としての推薦候補の認定に近づいているとの情勢にあるようで、皆様のコンセンサスを得たいと存じます。過去に世界RC百周年時の2004-2005年度に十大記念事業の一つとして指定された経緯がありますが、その後少し下火になっていたようです。
 その他の地区としての長期ビジョンにつきましては、いろいろなご提案がありましたら、自由に討議して目標を決めればよいのではと考えております。
 クラブ訪問についてですが、本年度も74クラブを例年通り訪問させていただく予定です。RIの方針をお伝えすることが、第一の目的ではありますが、会員の皆様と意見交換しながら、同じ同志(フェロー)として親交を深めたいと考えております。どうか皆様、肩ひじ張らずによろしくご協力いただきますようにお願いいたします。

 以上ですが、本年度も従来のロータリー活動は継続、維持しつつも少しでも変えられることがありましたら、前へ向かって行動しましょうと訴えたいと存じます。会員の皆様の四国ワンチームの精神でのご協力をお願いいたします。
 
 
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