大宮西ロータリークラブ(RC)は、2013年3月に創立50周年を迎えましたが、その3年ほど前から大きな危機感を抱いていました。一時は100人を超えた会員が、2010年、42人まで減少してしまったのです。例会はマンネリ化し、奉仕活動も前年踏襲型、高齢化による停滞感が漂っていました。もちろん、会員増強の必要性は皆が実感していましたが、増強の掛け声だけで、実際の行動には結びつきませんでした。ここに、あるベテラン会員が、2010-11年度の会長エレクト兼増強委員長に指名されたことから、これらを打破する増強物語が始まります。


1人の会員から始まった増強物語
 彼は、元気のいい活力あふれるクラブにするため「1人が1人の増強」を提案し、42人から84人への倍増、さらに新会員からの紹介で126人へ3倍増する計画を立てました。彼の経営感覚から、増強しようの掛け声だけでは誰も動かないことを知っていましたが、例会のたびに壇上に立って会員に増強を強く何度も呼び掛けました。自らも積極的に行動し、熱心に勧誘しました。業種にとらわれることなく30〜40代の若手経営者を積極的に開拓し、声を掛けていきました。増強に成功した会員には最終例会で増強賞を贈りました。
 大宮西RCの特徴の一つは、通常の例会以外に、年数回の新会員歓送夜間例会。クリスマス例会、親睦一泊旅行、新年例会、各奉仕事業後の懇親会など、親睦を深められる機会がたくさんあることです。クラブのゴルフ会には、会員以外のゴルフ好きオブザーバーの参加も認め、それがきっかけとなり入会した人もいるほどです。この強みをアピールするとともに、若手の勧誘をするとき、ロータリーの理念の説明とともに、ロータリーは異業種の集まりで経営の勉強になることもPR。また、親睦と奉仕を重ね信頼関係が生まれてくる中でビジネスチャンスも広がるメリットもアピールしました。仕事の話はロータリーの中では長らくタブー視されていましたが、この殻を破って、相互扶助というロータリー草創期の原点に戻って会員の事業上の利益増大、ビジネスチャンスの利点を打ち出しました。ロータリー活動の両輪である親睦と奉仕に、事実上の利益増大を加えて、力強い3本の矢でロータリーの魅力を訴えました。この入会への動機付けと熱心なアプローチは継続して実施され、3年後の2013年のクラブ50周年時には85人と倍増し、さらに4年後の現在は113人と、3倍増まであと少しのところまできています。
 入会後は、新会員教育として歓送迎会を兼ねた研修会を年に数回実施、過去に受講していない会員も対象にしています。また、中堅の会員を対象とした研修会、お酒を飲みながらの特定のテーマに絞った「わいわいロータリー塾」など、新会員以外を対象とした研修会も随時実施しています。
 また、例会の中で、テーブルディスカッションも行っています。テーブルごとにリーダーを置き、新会員が発言しやすい状況を整え、積極的に発言を促しています。さらに、新会員を各委員会の委員長に多数起用し、早くも会長を出しました。退会者がほとんど出ていないのがうれしいことです。このように会員が増えたことで、財政的にも余裕ができ、少額ですが、実質的な会費の値下げも実行できました。
 パレスホテルでの若さと活気あふれるステイタス感ある例会。ピンクリボン運動、ラオス小児病院支援、地元小学生2,000人を招待しての鉄道博物館ナイトミュージアムなどの若い力による新しい奉仕活動。30〜40代の会員が増えて大宮西RCの世代交代ができつつあります。
(第2770地区 埼玉県)

                 ロータリーの友 2017年8月号より